最初のバイクでの変身シーンで訳もなく涙が出て、それだけで充分とも言えるけど、あそこが最高潮でもあったな。一緒に観た子どもたちも楽しんでいたようで良かった。
ルリルリみたいな言い回し、よくわからない英語の気取った発音への拘り、鳴りっぱなしの劇伴、といった監督いつもの悪い癖(アニメの手法?)は相変わらずでした。
だからいつものことだけど、どこかの気合の入った映研が撮った「僕の考えた最強のライダー」みたいな感じが拭えなかった。素晴らしくエッジの効いたシーンと構成の拙さ編集のぎこちなさのアンバランスさというか。
作品としての背骨で言えば、打倒すべき相手であるショッカーが結局何をしたい組織なのかよくわからないのも問題だと思う。イチローが人類補完計画の出来損ないみたいなことを企画していましたが、全体としてショッカーの計画がそこに集約されるべきものとして設定されているのか、ショッカーの最終目的を果たすための手段のひとつとして実行されているのか明確でなかったのが見ている間落ち着かない印象でした。(物語は続くのだから多分後者なんだろうというところに収まりましたが。)
また脚本の細かい所で例示するなら、赤いマフラーにまつわるセリフの配置が格好悪すぎて。あれはここぞという時に1回だけさらっと触れてなんぼでしょう。説明がくどすぎて泣けるところなのに涙が引いた感じだった。全体の構成しかり、(今回に限らず)脚本はだれか客観的な人に一度見直してもらうべきと思います。
ところで(特に対ハチ戦が顕著でしたが)戦闘シーンはアップデートしたハニメーションみたいだったから、予算的な制約でやむを得ずというより監督的には最初から「格闘のビジョン」としてはあれが正解だったんだな、と思いました。
役者陣は皆さん健闘。鑑賞前は「見栄えのいい主役」じゃない、あえてのなんだろうけど(そうしたいなら松坂桃李と入れ替えるでしょう)、しかし柄本佑はないだろう、と思っていたけど、最後は格好いいと思わされたぜ…いいねえ。池松壮亮はいつもどおり終始ふるふるしていて仮面ライダーとしての活動をちょっと思い出しただけなんだろうなと思わずにいられなかった。
でもトータルとしては良かったです。仮面ライダーとして見たい画を観せてもらえたので嬉しかったですね。
☆☆☆1/2(最初のバイクでの変身シーンは5点!)