これはかなり面白かった!スパイ・コメディの作り方としては、とぼけた主人公のスラップスティックなギャグで強引にねじふせるか、機知とユーモアでクスリとさせるかに大別されると思うのだけど、予告編では明らかに前者として売ってましたよね。でも主人公は意外と(現場仕事は初めてながら)できるエージェントで、実際にはそのちょうど真ん中くらいという珍しいさじ加減に仕上がっています。(僕もそうなんだけど)迷惑系コメディがあまり好きじゃない人にもその点お奨めです(原作はメル・ブルックスなんですね)。あとアクション映画としてもかなり本気。ちなみに、「散々ドタバタした挙句、最後には何となくつじつまが合っちゃう」というコメディによく主演している人がカメオ出演してます。
さて出演は「リトル・ミス・サンシャイン」コンビであるカレルとアーキンが手堅く上手いのはもちろん、ロック様やテレンス・スタンプ、ジェームズ・カーンと派手さはないもののマニア好みの渋い人選が実に適材適所という感じ。それとお嬢様キャラを脱皮しようと『ブロークバック・マウンテン』以来チャレンジングな役が多いといわれるアン・ハサウェイがセクシー担当なんだけど、「頑張ってる感じ」が分かっちゃうのが逆にグッときました。
『それ行けスマート』を知らないので、おそらく原作ファンへの目配せと思しき演出がピンとこないのが歯がゆい感じ。しかしジョーズ風の悪役とか小道具とか、むしろ007へのオマージュと見える箇所も。(ゲーリー建築のディズニー・ホールがクライマックスの舞台というのも、もしかして?)
個人的なツボ:「ファビュラス・ベーカリー・ボーイズ」「米国に関する陰謀は1を」
☆☆☆☆