メランコリック(田中征爾)

 明らかに低予算なんだけど、勢いと根性でなんとかするんじゃなくて(そういうのも悪くないけど)、脚本の妙と演技で見せるところが良かったですね。こういうタイプの映画ってアメリカのインディペンデント作品には結構あると思うけど、邦画でもやれるんだなと嬉しかった。(初期のコーエン兄弟作品に近いとすら思いました。)「オフビートな笑い」に逃げることなく、正面突破していたところも好感が持てたし、メジャーな役者さんが出ていないことで最後までどう転がるかわからないところも作品にとってはプラスだったような。

 設定は突飛だけど、こういう世界もあるのかもしれないと思わせるだけの説得力があるし、説明セリフは排したところでキャラクターが立ち上がってくる演出も素晴らしかったと思います。

☆☆☆1/2