ミン・スーが犯した幾千もの罪(トム・リン)

 特異なナラティブによる西部劇。ガンアクションやダイアローグはスムーズなのに、やけに「語り」(時間描写?)がぎくしゃくしていた印象でした。前のパラグラフで日が昇ったと書いたそばから、とたんに日没を迎えるような。それもあってか全てが観念的かつ抽象的なので、実は物語のすべてはどこかの人物(現代人でもいいし)の心象風景だったのかも。

 別の言い方をすると、「見せたいところ」以外の中間がないので、西部劇のグラフィックノベルのノベライズみたいでしたね。作者はごく若いし、そちらのイメージが近いのかもしれない。不死者とかテレパシーとか預言者みたいな超常能力も出てくるし。

☆☆☆1/2

※ちなみに主人公はチャン・チェンのイメージで読んでました。