美味礼讃(海老沢泰久)

 バブルにはぎりぎり間に合わなかった世代なんだけど、ピラミッドとかタイユヴァンとかポール・ボキューズみたいな固有名詞が登場するので、すごい人脈だな、いやそれを引き寄せる辻静雄人間力がすごいのか。

 と一瞬思うのだけど、今の日本の「本物のフランス料理」のイメージがいわば辻史観なので因果が逆なんですね。でもとても面白かった。辻のイメージする料理学校を実現するためにメンバーを集めてくる梁山泊的な展開が熱いけど、一方で悪役があまりに平板なので(だからフィクションの体裁なんだと思いますが)、ちょっと残念でした。

☆☆☆1/2