X-MEN:ダーク・フェニックス(サイモン・キンバーグ)

 最近ディズニープラスで配信されている「観ていなかった作品」の落穂拾いをやっていてひとつ気づいたのですが、映画会社が「今年はこれでいく!」という気合で作った規模の作品を見るのは、多くても月1回くらいにしておかないとお腹いっぱいになるしもったいないということですね。

 それはさておき、そつなく演出された面白い映画だったと思います。しかしトーンとしては完全にブライアン・シンガー路線というか「しかつめらしい表情の登場人物たちがああでもないこうでもないと議論したり戦ったりしながら最後は共同で敵を倒す」話ですよね。確かにちゃんと作ってあって、役者陣の演技もさすがだし、一定の楽しさはあったのだけど、(MCUもある中)もう一度この話する必要あったかな?とは思いました。

 そもそも発端がマッチポンプだから心情的に乗りにくい。僕のワースト映画は「アベンジャーズ2」なんだけど、それはまさにマッチポンプの話だから。リアルに考えたら、時々ヒーロー活動で助けてもらえる部分とまれに引き起こされる大きな被害を秤にかけるなら、どこかの惑星や別次元で暮らしてもらった方がいいのでは?となるのは自然な感情だと思うんですよね。つまるところフィクションなのだから、どういう話をどういう展開で語るかは作り手の胸ひとつ手際次第な訳で、そういう「もしも」を観客側に想起させてしまう時点で、脚本家は反省した方がいいと思います(あまりにもそういう発端が多いから。原作に依拠しているとはいえ。)。

☆☆☆1/2