マラソン・マン(ウィリアム・ゴールドマン)

 ちょっと前に読んだばかりだけど再読。やはり傑作といわざるを得ない。アクションシーンとサスペンスの配分の按配とか、どこまで本気で言ってるのか分からないひねくれたユーモア感覚とか。小説家としてのウィリアム・ゴールドマンは(本能に突き動かされてなのか)常に「やり過ぎてしまった」感がある。しかも本人もいいさじ加減が分かっていながら、みたいな印象。
 その点、珍しくこの作品はウェルメイドな領域で踏み留まっていて、趣味がマニアックじゃない人にも広く受け入れられそうである。(そのフラストレーションのせいなのか、続編の『ブラザーズ』ではこれでもかとやりすぎちゃうのだけど、その台無し感も良かったりしてね・・・誰か映画化しないかなぁ。もちろん脚本はゴールドマンで。)
 それにしても『マジック』の古本相場はなぜにあんなに高いのか。
☆☆☆☆☆