Vフォー・ヴェンデッタ (ジェームズ・マクティーグ)

 存外面白かった。少なくともマトリックスの2・3作目よりも。以下思ったことを箇条書きで。
 ・続編を作るたびに「日和った!」と言われたのがウォシャウスキー兄弟はよほど悔しかったのだな。また警官をバシバシ殺しまくってた。
 ・ヒロインに興味がないと思ってたけど、別の監督を立てた効果なのか、ナタリー・ポートマンはSWシリーズより5倍くらい綺麗に撮られてる。
 ・その一方でゲイに対する圧力へのお兄ちゃんのルサンチマン爆発。
 ・もっとヒロイックに描かれていると予想してたけど、Vは結構「ホンモノ」の人として造形されていた。これは監督が別の人である「功」の部分じゃなかろうか。
 ・狂言回しとしてのキャラをスティーブン・レイが演じている。この人のおかげで映画が引き締まった感じだった。

 戦争がらみの近代史に触れるときによく言われることだけど「100年も経っていないのだから現代人と戦時中の人々の思考にそんなに差はない」。それなのに、あれだけ無謀な戦争に突入してしまったことを考えるべきで、戦時中の人々の思考に高を括るべきじゃない。戦時下の新聞のあからさまなプロパガンダを面白おかしく取り上げるようなケースもあるけれど(ということは「今の日本じゃありえない」という趣旨が裏に当然ある訳だけど)、あれは翼賛体制が確立した後のことで、それまでは現在の新聞記事とあまり変わらないような内容だったそうだ(ごく最近も、なにかでそういう記事を目にしたんだけどなぁ・・・)。っちゅうことをつらつら考えながら観ておりました。
 現実にはサトラー議長みたいな分かりやすい悪役はいない訳で・・・そっちが怖えぇよ。
☆☆☆1/2