騎士団長殺し(村上春樹)

 『多崎つくる』は普遍的な青春というか、あまり村上作品にないアプローチを感じて好きだったんだけど、この作品はあまりに村上作品要素だらけ(というか、のみ)すぎて、ううむ、となってしまった。

 そういえば『1Q84』は掃除人や便利屋みたいな闇を徘徊するキャラクターの面白さで楽しめたのだけど、今回は人物造形がことごとく「すべってた」印象でした。

 それにしても村上春樹は、「必ずしも本意ではないのだけど、たまたま天職というしかない仕事に巡り合って、それで糊口をしのいでる」主人公が多いですよね。でもそんな主人公が語る仕事のコツみたいな話が好き。定評のある料理描写と同じでシズル感があると思う。

☆☆☆