2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

トマス・モアの大冒険―パスト・マスター(R・A・ラファティ)

そういえば『人類補完機構』と並んでエヴァンゲリオンの元ネタって言われてなかったっけ・・・ 実際読んでみてさもありなんという感じだった。ラファティではおなじみの所謂「秘密結社」ネタ。ただコードウェイナー・スミスほど視線が冷徹ではない。 もうち…

ナイロビの蜂(フェルナンド・メイレレス)

アフリカを食い物にする製薬会社の不正と陰謀、という舞台設定にされたら、主人公とその妻の在りようがあまりにも「正論」すぎて異論を差し挟む余地がないのだけど、『イングリッシュ・ペイシェント』とか『シェルタリング・スカイ』に通じるようなエキゾ趣…

イン・グッド・カンパニー(ポール・ウェイツ)

大好きな『アバウト・ア・ボーイ』以来ご無沙汰だった監督の日本劇場未公開作品。 スポーツ雑誌の営業部門の重役を務めるサラリーマン、ダン(51歳)。彼の会社はある日突然、大手企業に買収されてしまう。そこへ親会社から乗り込んできたのが、26歳のカ…

黒大王

うーん、別に黒田漫画じゃなくてもよかったんじゃないの?いや、実際のとこ、本当にそうなんだと思うけど。 TV版「セクシーボイスアンドロボ」は、どのエピソードも結局最後には人情話・浪花節でまとめる感じで、原作の「面白おかしい表層のすぐ裏は闇」と…

狼の一族(V.A)若島正:編

異色作家短編集の最後を飾るアンソロジー3冊中の2冊目までを読んだわけですが、うーん今回のアメリカ篇は「こういう機会でないと読めないレア作家」が比較的乏しく、かつ「埋もれていた名作感」もあまりなかったので(まあ未訳作品でのアンソロジー、とい…

ゾディアック(デビッド・フィンチャー)

この映画、「猟奇殺人もの」ではなくて「新聞社もの」の変奏だったのね。(ネタバレしてるかもしれないので、観てない方は気をつけてください。) 監督自ら公言しているように『大統領の陰謀』をかなり参照している跡あり。これといった事件が起こらない時間…

マッチポイント(ウディ・アレン)

「古典的な題材がクラシックで重厚なスタイルのカメラに映える。映画作家アレンの円熟というにふさわしい作品」という評判だったけど、まさにその評判が全てを言い表していた。「言い訳芸」やニヒリスティックな視線も相変わらず。アレン自身が登場しなくて…

「誰かが」あなたの行為に迷惑していますは「any one」と訳すべきでは?(前回のやつ)ということが気になってた

ユナイテッドシネマのマナー広告は、それ自体がストレスフルなので即刻止めていただきたい。

300 スリーハンドレッド(ザック・スナイダー)

恐ろしくタカ派で、かつ恐ろしく不道徳な映画。 噂どおり、画づらのコントロールは完璧。なんだけど、テーマに気持ちの余裕がない分、「おもしろ」成分も不足しているように感じられて、コミックのまんま映画化の試みとしては『シン・シティ』の方に軍配を上…

棄ててきた女(V.A)若島正:編

「異色作家短篇集」の英国編。時期もテイストもばらばらの作家陣を「異色」のくくりで編んだアンソロジー。こういう方針の短篇集は一度も読んだことのない作家に出会えるから嬉しい。 さて今回の個人的な収穫で、収録作中一番よかったのはL・P・ハートリー『…

ひとりっ子(グレッグ・イーガン)

『祈りの海』『しあわせの理由』までは短編集として収録内容のバランスがよかったのか、それともイーガンの作風の最近の傾向が表れているのか・・・ 「○○という技術が確立した時、世界はどう見えるのか?」という切り口は、そもそもSFというジャンルそのも…

ザ・シューター 極大射程(アントワン・フークワ)

キアヌ主演で映画化進行中、のニュースが届いてから幾年月・・・ようやく完成した作品は? 派手さはないがツボを心得たアクション、臨機応変さで絶体絶命の難所を潜り抜ける主人公、なかなか渋いセンスの映画だなぁと感心しているとデジャヴな印象が・・・『…