「古典的な題材がクラシックで重厚なスタイルのカメラに映える。映画作家アレンの円熟というにふさわしい作品」という評判だったけど、まさにその評判が全てを言い表していた。「言い訳芸」やニヒリスティックな視線も相変わらず。アレン自身が登場しなくてクッションがない分、むしろそれらの要素は純化されていた印象。
私生活のビッチなイメージがそのまま投影されたようなスカーレット・ヨハンソンがよかった。よかったんだけど、終盤、余裕がなくなって「いつ奥さんと別れてくれるの?」と問い詰めてくる様は本当に鬱陶しくて、100%男が悪いのに、やっぱり男側に感情移入してしまった。それだけ上手いってことなんだろうけれど。
ひょっとして素で演じてるんじゃないだろうか、といえば主人公のジョナサン・リース・マイヤーズも同様で、『ベルベット・ゴールドマイン』の頃からなんとなく好きで注目してたんだけど、今回が一番ナチュラル。言葉は悪いが、育ちは隠せないなという感じが(だからシンパシーを感じる訳だけど。『ベッカムに恋して』の時はえらく爽やか好青年だったから、それと比較するとちょっとショックでね。)さすが役者。だから『M:I:Ⅲ』の使われ方は返すがえすも勿体なさすぎであった。マギーQは『レディ・ウェポン』から出世して『ダイハード4.0』なのに・・・
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