ゾディアック(デビッド・フィンチャー)

 この映画、「猟奇殺人もの」ではなくて「新聞社もの」の変奏だったのね。(ネタバレしてるかもしれないので、観てない方は気をつけてください。)
 監督自ら公言しているように『大統領の陰謀』をかなり参照している跡あり。これといった事件が起こらない時間帯でも、捜査の過程の描写だけで高いテンションを持続させるところはさすがフィンチャーの面目躍如といったところでしょうか。
 「新聞記者もの」ではなく「新聞社もの」とあえて書いたのは、「新聞記者もの」はむしろ「探偵もの(刑事もの)」というミステリのサブジャンルだからで、どちらかというとこの作品は『ザ・ペーパー』や『ニュースの天才』のように事件に関わる個人のほうに重きが置かれているように感じたからであります。あと、新聞社のオフィスでガヤガヤ会議をしている光景だけでなんか格好よいのがね。
 それにしても原作があるとはいえ、解決してない事件を題材にして、あんなに犯人を断定する映画にしてしまうのは勇気があるなあ・・・関係者も存命だと思うんだけど。というところにまたもやアメリカを感じました。
☆☆☆1/2