クワイエット・プレイス(ジョン・クラシンスキー)

 低予算ホラーとはいえ、『イット・フォローズ』みたいな「映画の新しい地平を切り開くぜ!」といった趣の作品ではないので、そういった方向の期待をしなければ手堅く作られた映画として楽しめるかも。(ただ音が重要な要素である作品なので、やはり映画館で観なければその真価は評価できないタイプの映画ではあると思いました。)

 不勉強だったのですが、監督はもともとコメディ畑で活躍してきた役者さんだったのですね。(しかもエミリー・ブラントと実際に夫婦。)そう考えると、あの「釘」の演出もシリアスなシチュエーションでなければ完全にコメディの呼吸だったなと腑に落ちます。むしろトムとジェリーとかテックス・エイヴァリーのようなカートゥーン的な。

 ただ一方で、上記の「釘」しかり、末っ子の顛末しかり、提示した要素を回収することについて全然タメがないので、ただの前振りにしかなっていない性急さは勿体ない。要素の出し入れについてもっと編集の段階で工夫すべきではないかな。

 美点はやはりランタイム90分というタイトさ、「音を聞きつけて襲ってくる怪物がいます」という一点突破のソリッドさ。そのアイディアを活かすにはどういう展開があり得るか?をよく考えていたと思います。(サイロのシーンは最高でしたね。)

☆☆☆1/2