残念ながらこの作品にも乗れず・・・(この夏は「特撮もの」と相性が悪かったかな。)以下その理由をつらつら考えるに。(ややネタバレです。)
・やはりエリジウムのセキュリティ体制が、長きにわたって超富裕層の楽園を守ってきたというにはあまりに脆弱に見えたこと。具体的にはアーマダイン社長ともあろう人のガードが隙だらけすぎるし、(え、この映画もなの?となったくらい最近多いけど)ID4的一発逆転方式で何とかなる管理システムだし、いざ侵入された時にもっとワラワラ防衛ドロイドを投入すればいいのに(あんなにたくさん工場で作ってたのに)、結局傭兵とヒーローの戦いに終始しているし。
・一番残念だったのは、エリジウム住民の防衛を一手に担っているデラコート(J・フォスター)が、「老いや病から解放された」事実上の不死者であるはずなのに、(単純に冷酷なだけで)それらしい年経た老獪さを実働面で見せてくれないこと。もっと言えば長すぎる寿命に倦み疲れた、しかし現体制維持には固執する、といった奥行きが感じられないままあっさり退場してしまうこと。※
・これは登場人物全般にも感じられたことで、誰もが初登場時の印象から一歩も出ないまま、その役を全うするのみで終劇となります。前作『第9地区』で一番心動かされたのは、小役人ヴィカスが運命のいたずらに右往左往し利己的な言動を続ける中で、最後には自己犠牲の精神を発揮する、という振幅にあったので、今回は物足りなく感じられたのかもしれません。
☆☆☆
※逆にそういう定番をひっくり返す、この作品独自の「寿命を超越した人類ならではのメンタリティ」みたいなものが感じられる描写があれば、そこに「SF」を見出せたと思うのだけど。