人間の罪の意識をメタファーに仮託して描く、クラシックな味わいの作家。収録作では「雨の中の娘」のように、悪夢的世界でありながら一種の美しさがあるような物語が好みだったので、同じテイストの作品がもう2、3あれば個人的には高評価だったのにと思う。
ところで、ブラックウッドやもっといえばマッケンみたいな古典的な作風なので、そういうイメージと同列で読んでいたのだけど、原著の刊行は80年。マイケル・ジャクソンやオリビア・ニュートン=ジョンと同時代、と考えると何か時代感覚の遠近法が狂ったような不思議な気持ちになりました。
☆☆☆