映画史的には所謂「清順美学」が開花した作品という位置づけになるようで、構えてしまったけれど物語は普通。そして普通に面白かった。
素性の知れぬ流れ者ジョー。風のように現れた彼は野本興業のシマを荒らしまわり、その腕を買われて用心棒に収まる。常人ばなれした度胸で組織内でも頭角を現すジョー、しかし彼は対立組織である三光組にも接近し・・・
トリッキーな画も随所にありますが『殺しの烙印』ほど針が振り切れてないという、娯楽作品としてはこれくらいの按配がいいなーという映画ですね。物語としてのツイストがしっかりあり、ハードボイルドの名作と呼ばれるのもむべなるかな。ただプログラム・ピクチャーにしては屈託のある作劇が清順流なんでしょうか。(しかし同時代の他の監督作品をほとんど観たことがないのでなんともいえないんですよね。)
☆☆☆1/2