アルフィー(チャールズ・シャイア)

 「人間喜劇」みたいなものすごく大きな意味ではコメディなのかもしれないけれど(というか強いてカテゴライズするのがそもそも間違ってるかもしれないけど)、娯楽作品としては生々しすぎて楽しめなかったよ・・・

 映画史に名を残す作品で、それ故ストーリーも観る前に知っていて、なおかつ実際に観てみたら概ね想像していたとおりの物語だった。にもかかわらず「こんな話だったの!?」とショックを受けたという経験はないだろうか?個人的な感想としてすぐに思い出せる例としては、『卒業』や『愛と青春の旅立ち』。

 これらの作品の共通の要素をつらつら考えてみたのだけど、映画そのもの以上に、テーマ曲が大変有名であるということに気が付いた。要はテーマ曲から想像される映画のトーン(思い込み)と実際の作品(現実)の齟齬が大きかった、ということ。鑑賞体験に占める要素の割合として、作品の骨子である「ストーリー」もさることながら、「トーンの期待値」という要素は思っている以上に大きいのではないだろうか。

 ということも本当は余談で、やっぱり主人公の生き様が倫理的に受け入れ難かった、ということにつきます(そういう鑑賞姿勢は幅が狭いと分かっていても)。俺の身の回りにもこういう人が結構いますけど。酸いも甘いも噛み分けたおじいさんが、主人公の甘えた態度に(静かなんだけど)一瞬本気で「あんまり調子に乗るな」と叱るシーンがありましたが、物凄く感情移入してた。おじいさんに。
 でも本当にショックだったのは、ネットで感想をみてたら意外と女性に肯定派が多いこと。ありなのか?まあ現実を見てたら「あり」なのかもしれないという気はしますが・・・
☆☆