私としても映画初めがこの作品というのは内心忸怩たる思いがあるのですが、ディスカスさんの計らいなればやむを得ず。おっぱいと悪趣味なショックシーンがどちらも過剰に盛り込まれているのが売り、だけど演出は手堅いというのがもっぱらの評判でしたが、まさしくその通りの作品。なにせ主人公のお母さんまで巨乳シェリフという徹底ぶり。※
ただ、いやー笑った笑った、で済ませるのはいいとして(まあそれが正しく推奨される鑑賞姿勢なんだと思うけど)、ちょっと人物描写が雑なのが気になりました(特に地質学者チームの扱い)。ステレオタイプなのは全くOKですが、だれが生き残るのか?のサスペンスの醸成に寄与していないというのはこの作品のジャンルとしての根幹に関わる部分なのだから、いかがなものでしょうか(正直誰が死んでもどうでもいい感じ)。あと保安官チームが命がけで行楽客を助けるにしても、効率が悪すぎるので応援する気になれず一向に盛り上がらない、ヒロイックな行動にも全然感情移入できない、という点も脚本に工夫の余地ありと思われました。(そもそも地上対水中だから成立させるのが難しいことは最初から分かっているはずで、しかもモンスターの性格上大物を仕留めるカタルシスにも乏しい訳だし。)次回作のトレイラーが入っていたけど、もうちょっと頑張ってくれていてほしいものです。
そうそう、主人公はこういうジャンルムービーの一つの定型としての「童貞のヘタレ」青年なんだけど、となればこの厄災を一つのイニシエーションとして大人になるのが物語の根幹になるべきであって、実際そういうストーリーでもあるのです。ところが、大人のエッチなお姉さんに興味津々でポルノ撮影のバイトをしたはずなのに、ちょっと予想外の展開(しかも自分に責任がある)になったらバイトそっちのけで、しかもあろうことか雇い主に逆ギレする始末。プロット上は雇い主の監督がある種の悪役になっているのですが、一社会人としての視点からは、あれは主人公に非があるとしか思われません。どんなにつまらない仕事でも、一旦引き受けたからには最後までやり遂げるべきでしょう。最低限それもできない奴に主人公ヅラされたくないなと、いま冷静に振り返るとそれがこの映画に入り込めなかった理由かも。
・お母さん保安官が「みんな今すぐ湖から上がって!」と警告するのはダチョウ倶楽部的なアレですよね・・・
・吹き替えにして観てたのだけど、ヒロインは坂本真綾、お母さんは三石琴乃、クレジットをみたら田村ゆかりと釘宮理恵も当てていて、なんでまたこんなに充実させたかねえ・・・とビックリした。
・公式サイトで15歳以上しか見ちゃダメなところをわざわざ思わせぶりに目隠ししてあるのですが、「地震でできた湖底の「割れ目」(反転)」が墨消ししてあったのがウケました。
☆☆☆
※あれはエリザベス・シューだったのか・・・『リンク』から幾年月ですね。『リービング・ラスベガス』で一皮むけたか?と思ったのにまた動物パニックに戻ってきちゃった本人の心情を慮ると・・・