2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

コンラッド・ハーストの正体(ケヴィン・ウィグノール)

平たくいうと「抜け忍」もの。犯罪組織のボスの指令で殺し屋稼業を続けてきた主人公は、ある「仕事」を切っ掛けに足を洗うことを決意する。そのためには自身を知る4人の男を消さなければならない。しかし手始めに殺した男は、彼の存在に関わる謎を口にする…

ベンジャミン・バトン 数奇な人生(F・スコット・フィッツジェラルド)

フィッツジェラルドという作家は、本当に「わたくしは北部の社交界も知ってるのよ。そこらの南部娘と一緒にしないでいただけるかしら?なんて若い頃は意気がってたけど、やっぱり南部が落ち着くわー」という女の子が周囲を振り回しながら歳を経る過程を見て…

ハプニング(M・ナイト・シャマラン)

世間の評判がかなり芳しくないので結構覚悟して鑑賞に臨んだのですが・・・結構好きな路線でした。 出所が異なる宗教なのにモチーフが共通していることがあるように、或いは同じ趣旨の諺が別の文化的土台から導き出されるように、人間の「原初的な記憶」とい…

ウォッチメン(ザック・スナイダー)

ウォッチメンの来歴を語る冒頭が素晴らしい。作りこみ系の写真(ステージド・フォト)風のビジュアルがヒーローという存在のネガティブな側面を誇張していてとても印象的なんだけど、正直本編ではこれを超えるインパクトはなかったような・・・とはいえ面白…

アイガー・サンクション(トレヴェニアン)

ウィリアム・ゴールドマンの邦訳は殆ど入手したはずなので、あとは『マジック』が安くで出てればなあとネットを検索してたら、ある掲示板で「(寡作で知られる)トレヴェニアン好きならゴールドマンの作品も気に入るのでは?」という一文を発見。それでは逆…

逝去

伊藤計劃さんがお亡くなりになっていたのですね。同じくらいの年頃の方だったのでかなりショックです。ご冥福をお祈り申し上げます。

クロコダイル

この前、公営交通事業協会のポスターを見てたら、えぇ?てなった。だってあまりにもラコステの広告シリーズのいただきなんだもの。 クライアントから「とりあえず3案ほど出してください」と要望があって、「もう期限まで時間ないし、捨て案で入れとけ!」と…

EDWARD HOPPER(Rolf G.Renner)

名前は知らずとも、誰でも一度は何かしらの彼の作品(とりわけ画像を載せた「Night hawks」は有名ですが)を見た事があると思われるエドワード・ホッパー。その画集です。 『ベンジャミン・バトン』の映画化に併せて、フィッツジェラルドの短編集が角川文庫…

地球の静止する日(ハリー・ベイツ他:V.A.)

裏テーマは藤子FのSF(すこし・ふしぎ)短篇の元ネタかな。 と、大きく出てみましたが、これは割と最近出た尾之上浩司編・訳の角川文庫の方です。同じタイトルで検索しても、中村融編・訳の創元SF文庫版が先に出てきちゃうのがちょっと切ない(こちらも…

火を熾す(ジャック・ロンドン)

表題作に尽きる。実際この短篇のためだけにでも手に取る価値があると思います。 今回集められた短篇は、全体として極限状況に置かれた人間の精神の在り様と自然への畏怖がテーマ。クライマックスに向かって研ぎ澄まされていく描写の積み重ねには、ぎりぎりと…

ステート・オブ・グレース(フィル・ジョアノー)

「ドラキュラ役は今勢いのあるゲーリーにやってもらったんだ」とコッポラがインタビューに答えていたとき、この作品を挙げていたような記憶が(輻輳してるかもだぜ)。ショーン・ペンはもちろん、エド・ハリスにタトゥーロと、今思うと渋いながらも豪華な役…

ブラック・サンデー(ジョン・フランケンハイマー)

この映画を観るまで知らなかったのだけど、9.11の時に話題になっていたそうですね。なるほど予見的な感じがなくもないですが、飛行船の方が映えるという意味では(不謹慎で恐縮ですが)、やはり乗り物の選択は映画的だったというか。 テロ組織「黒い9月…