これまでこの作品の存在を知らなかったのだけど、精神的に問題を抱えている人の主観で描くということで、(手法としては実はあまり感心はしなかったのだけど)『ファーザー』の元ネタはこれだったんだな(まんまだな)と思いました。
しかし70年代の映画って、観客にどう感じろと?っていうような作品が時々あるけど、それでも作られちゃうところに懐の深さを感じるような感じないような…
☆☆
これまでこの作品の存在を知らなかったのだけど、精神的に問題を抱えている人の主観で描くということで、(手法としては実はあまり感心はしなかったのだけど)『ファーザー』の元ネタはこれだったんだな(まんまだな)と思いました。
しかし70年代の映画って、観客にどう感じろと?っていうような作品が時々あるけど、それでも作られちゃうところに懐の深さを感じるような感じないような…
☆☆
実はデル・トロ監督の箱庭的窮屈な世界観がどちらかというと苦手なんだけど、この物語には合っていたと思います。半魚人愛、クラシック映画愛があふれていましたね。個人的には結末は『パンズ・ラビリンス』と同じだと思っていて、想像の世界の自由は誰にも邪魔することはできない、という意味なんだと思います。(普通にハッピーエンドということでもよいのだけど。)
☆☆☆1/2
※野暮は承知で書くけれど、水路が喫水に達するのを待たずにあれだけ近いんだから直接海に放てよとやっぱり思いましたよね。そういうディテールの甘さは物語の切実さにとって結構致命的だと思うのだけれど…
世界情勢もあって香港アクションが低調な現在、そういう感じのやつをほどほどの予算でハリウッドで作ったらいいんじゃないか?と、『ザ・フォーリナー』の成功で手ごたえを感じてという流れじゃないかと推測したのですが。作品としては、年を重ねた殺し屋が来し方を振り返ってけじめをつける、というよくある話ではあるのですが、よく考えたら辻褄合ってるのかな?という感じもあって微妙でした。
それはさておき、『ザ・フォーリナー』の時も感じたのだけど、熟年ラブシーンというか、熟女セクシーというのか、どこの需要に向かってボールを投げているのだろうかと不思議でした。冒頭では気のせいかとも思ったけれど、ボディラインを強調した衣装やシチュエーションが続くのをみるとやっぱりそうなのかなと。そういうのいらないな…
☆☆☆
細部へのこだわりが相変わらず爆発していて、しかも舞台が架空の日本だから何とも言えない味わいがありました。ゴミの埋め立て地が「夢の島」という名前であるというグロテスクさについては日本人なら(昭和生まれなら?)何となく共通の概念としてイメージできるところだと思うのですが、そのイメージがそのままモチーフになっているような映画ですよね。というか、クロサワ、50~60年代映画、みたいな監督の好きな邦画からのインスパイアも大きいのだと思います。正直、監督作の中には鼻に付く感じがあるものもあるのですが、アニメーションだと脱臭されるのか見やすいですね。
☆☆☆1/2
※誰もが指摘するところだと思うけれど、鮨のシーンがすごかったです。
オリジナルの作品が好きなのなんて自分くらいだと思っていたら、突然リメイクされたからびっくりしました。しかし正直なところ、一部の好事家が偏愛するB級アクションというのが実質だと思うのでどんなものかと見てみましたが…
ワイヤーフェンスで囲まれたライブスペース、自分は極力手を出さずに若造用心棒を指南する主人公、ヒロインは女医さんという要素が踏襲されていて、ああそうだったそうだった!と思い出せて楽しかったのですが、僕が原作を良作たらしめる要素だと思っていた「長年の用心棒稼業に疲弊して、しかしその世界でしか生きられなかった先輩用心棒」の描写と「その死をきっかけに爆発する主人公」がなかったのが残念でした。
一方、まあ定番ではあるのだけど、ついに一線を越えた敵役の嫌がらせに「俺が恐れていることを教えてやろうか、俺が自分を抑えられなくなることだ!」とブチ切れる主人公については、いよっ!待ってましたという感じだったし、格闘シーンよりも主観と客観が入り混じったようなワンカットのアクションシーン(車の衝突とかボートが吹っ飛ぶところとか)が新鮮でした。
☆☆☆1/2
先日読んだ作者の短編集『恐ろしく奇妙な夜』が随分変わったテイストの作品で気になったので、長編はどんな感じかなと読んでみたのですが、いくらなんでもこれはないだろうというカルトミステリだったように思います。98年度の「このミステリーがすごい」海外2位とのことですが、いわゆる本格ミステリが物語の醍醐味というより思考のアクロバットを重視するということなら、その線で評価されたのかな?とも思うのですが、この結論でつじつまが合っているというなら何でもありだな、現実世界なら犯人が同一人物って勘違いは絶対しないだろう、むしろ主人公が犯人の方が納得がいくなという展開で、小説としては結構ガタガタだと思いました。(でもそれなりに多くの人が評価していたっていうことなんだろうな…)
ただ、物語としての整合はさておき、筋の乱暴さに比べて、悪夢のようなディテールがやけに生々しくて、そういう面白さはありました。
☆☆☆