先日読んだ作者の短編集『恐ろしく奇妙な夜』が随分変わったテイストの作品で気になったので、長編はどんな感じかなと読んでみたのですが、いくらなんでもこれはないだろうというカルトミステリだったように思います。98年度の「このミステリーがすごい」海外2位とのことですが、いわゆる本格ミステリが物語の醍醐味というより思考のアクロバットを重視するということなら、その線で評価されたのかな?とも思うのですが、この結論でつじつまが合っているというなら何でもありだな、現実世界なら犯人が同一人物って勘違いは絶対しないだろう、むしろ主人公が犯人の方が納得がいくなという展開で、小説としては結構ガタガタだと思いました。(でもそれなりに多くの人が評価していたっていうことなんだろうな…)
ただ、物語としての整合はさておき、筋の乱暴さに比べて、悪夢のようなディテールがやけに生々しくて、そういう面白さはありました。
☆☆☆