すごく良かったです。作品を構成するあらゆる面において行き届いているな、と感じました。役者陣は総じて素晴らしかったのですが(賞レースを席巻したのも納得)、歌の先生役のエウヘニオ・デルベスが特によかったですね。
☆☆☆1/2
すごく良かったです。作品を構成するあらゆる面において行き届いているな、と感じました。役者陣は総じて素晴らしかったのですが(賞レースを席巻したのも納得)、歌の先生役のエウヘニオ・デルベスが特によかったですね。
☆☆☆1/2
最初に読んだのは翻訳が出た頃だから随分前なのですが、その時の印象以上にすごく面白かったです。そういえば1回目は穿った読み方をしすぎて、序盤、犯人は主人公の別人格なんだと思いながら読んでいました。
改めて読み返すと、ゴールドマン節というかクセというか初期作なのに(だからこそ?)全開ですね。例えばこんな感じ。
・肉親の言いぐさが笑ってしまうくらいひどい。心が曲がってしまっても仕方ないほどに。でもそうならない人が主人公※に据えられるんですよね。(読者の共感を呼ぶためのテクニックでもあると思う。)
・主人公・脇役問わず、すごく登場人物に対して冷たい。端的に突き放している、非情と断言してもいいくらい。(読者はそこがなぜか癖になってしまう不思議。)
・セリフがすごく気が利いているし、かといって説明しすぎない。状況説明も兼ねている効率的かつ的確な描写。(考えオチ的に真意を能動的に読まないといけないから読書してる!という快さがある。)
(有名になりたくて連続殺人犯として虚偽の自首をしてきた男を追い返したら、戻ってきて)「あんた首を振ってたな。なんで首を振ってたんだ?」モーは笑みを浮かべた。「ときどき、意味もなくただ首を振るんだよ、ミスタ・クーパーマン」
ともあれ、異常な設定と展開でぐいぐい読ませる腕力があって、ディテールも凝っている。それでいてコンパクト。素晴らしい。
☆☆☆☆
※主人公モー・ブランメルはとある事故のせいで醜い容姿になってしまったのだけど、伊達男の代名詞であるボー・ブランメルにかけているんでしょう。
最後のシーンで迂闊にもようやく気が付いたけど『明日に向かって撃て!』なんですね。『Uターン』みたいな悪夢的な感じだったら面白いなと期待していたのだけど、ちょっと冗長かな。職人に徹したのか、監督らしさもあまりなかったような。
☆☆☆1/2
偶発性を意図した(実際は脚本どおりだったそうですが)ような映画は、邦画では自分はちょっと好みじゃないんだなと改めて認識しました。それこそジャームッシュみたいに「外国の」というフィルターがないとむずがゆくなるのかな…※
役者陣は達者な人ばかりで本当にそういう人物たちがいるとしか思えなかった。ただ(完全に個人的な好みとして)池松壮亮の演技ってどの作品でも苦手なんですよね。
ところでこの題名は思いついた人に「おめでとうございます!」という言葉を送りたくなるくらい素晴らしい。誰の人生にもある「ちょっと思い出しただけ」の瞬間に結実するラストは涙なくしては見られませんでした。
☆☆☆1/2(エンディングは5点)
※逆に言うと『寝ても覚めても』や『勝手にふるえてろ』みたいに映画の構築性に意識的な作品が好きということなんですが。(遡及するというような枠組みの意味じゃなくて、撮り方の方ですね。)
定番の物語を手堅く読ませるな、と思いました。最後の仕事と思い定めたヤマが泥沼に、という100回くらい読んだ話なんだけど、枠組の力強さで引き込まれる。(人物がよく描けているということかもしれない。)カーチェイスをはじめとしたアクション描画も的確。
ところで起死回生を狙って『用心棒』的な作戦を決行するのですが、投げっぱなしで大丈夫か心配になりました。ストーリー的にもあれでよかったのかな?
☆☆☆1/2