ゴッドファーザー マイケル・コルレオーネの最後(フランシス・F・コッポラ

 公開当時は酷評でスルーして今頃初めて見たのだけど、ソフィアはやはり厳しいと言わざるを得ない感じでした。(調子に乗ってる感じが役と一致していると言えなくもないけれど…)

 ところでオペラのシーンはジャーロ風というか「格調高いアルジェント」みたいでしたね。

☆☆☆

開眼

 ゴルフのスイングとは不思議なもので、理論上どのように振り抜けばよいかわかっていても身体が再現できない。が、ある瞬間突然すべての理屈がかみ合って素晴らしいショットの連発となる場合がある。そうか!そういうことだったのか!あのレッスン書や雑誌に書いてあったのは、この動きを指していたのか。ついに掴んだぞ!もうこれで迷うことはない。なんなら友人を掴まえて啓蒙してあげてもいい。

 しかし次の回、わかったはずのあのコツは雲散霧消。どうやっても再現できない。おかしい、気に掛けるべきポイントはあれとあれだけのはずなのに…かようにスイングの神髄とは追えども追えどもたどり着けぬ蜃気楼のよう、いや、なまじ体現できた瞬間もあっただけに余計にたちが悪いかもしれない。

 けれどもこのような「開眼」の瞬間は程度の差こそあれすべてのゴルファーが実感していることらしく、全く同じことを宮里優作も言っていたから間違いない。いやーゴルフって本当に難しいものですね。

 しかしあえて言おう、今回は本当に掴んだぜ!

とうもろこし倉の幽霊(R・A・ラファティ)

 ラファティの方法論は何となく分かっちゃったからな…となめてたら久しぶりにぶっ飛んだ。

 「さあ、恐れなく炎の中へ~」はエリスン的な終末観がすごいし、「チョスキー・ボトム」は奇想と伏線回収のウェルメイドが同居しているのが巧み(ある意味、作者はなげっぱなしが常なので、らしくない感じかも)。

 編訳者の井上さん曰く「伝奇集」を狙っていたそうなので、そう考えると最後に「いばら姫」を配置するセンスが素晴らしい。

☆☆☆☆

ゴッドファーザー PART II(フランシス・フォード・コッポラ)

 改めて見てみると、世間的な評判ほどには感心しなかったというか。やはり1作目の拡大版という印象は拭えない。

 ところでデ・ニーロが駆け出しの頃は実はデ・パルマと組んでいて『アンタッチャブル』のカポネは逆輸入的出演だった、とか、パチーノが『スカーフェイス』※でも組んでいるのって面白いな、ということを思い出しました。

 ところでハイマン・ロスってアクターズ・スタジオのストラスバーグが演じてたんだな!パチーノ緊張したろうな、と思ったのだけど、そういえば社会人になりたての頃に見直した時にも同じこと思ったんじゃなかったっけ、人間忘れてしまうものだなとショックを受けました。(完全に余談ですが。)

☆☆☆1/2

※堂々たるドンだった人が敢えて駆け出しのチンピラ役をやるという面白さももちろんあるけど。

his(今泉力哉)

 どの登場人物に対してもフェアな視線が保たれていたのは好印象でした。一方、主要キャラクターのみならず脇を固める人物たちもどこかで見たような類型的な造形で。僕にとって今泉作品の魅力は、どこか一般的な枠組みからはみ出すような、ステレオタイプを突き抜けるような人物たちのアンサンブルにあるので、そういった期待には応えてくれなかった印象でした。自身の脚本ではなかったからかもしれませんね。(誰も悪人がいない優しい世界という世界観は好きでした。)

☆☆☆1/2

KCIA 南山の部長たち(ウ・ミンホ)

 組織で生きることのままならなさがよく描かれていてとても面白かった。それと「取り乱して後から裸足だったと気づく」のようなディテールが具体的で、史実を基に映画化したというリアリティをグッと迫真性を持って観客に感じさせることに成功していたと思います。ところで、イ・ビョンホンってこんなに繊細な演技ができる人だったんですね。

☆☆☆1/2