ローラーボール(ノーマン・ジュイソン)

 カルト映画になるべくしてなったというか、狙ったわけじゃない「天然もの」の匂いがする作品でした。そのルールが面白いんだかどうだかわからない暴力スポーツ「ローラーボール」も微妙だけど、ディストピアですよ!と煽ってくる割りに実態が判然としない企業連合に統治された未来もピンとこない。雰囲気としては『パララックス・ビュー』みたいなポリティカル・スリラーだったり、『ザルドス』みたいな陰鬱な未来のトーンなんだけど、具体性がないから今一つ飲み込めないんですよね(そんなに主人公の存在が疎ましいのだったら、ゲームを通してみたいな回りくどいことをせずに直接排除したらよかったのに、と思う)。あと東京チームを馬鹿にするのがちょっと許しがたい演出なんだけど、あちらから見たバブル前夜で存在感を増してくる日本の不気味さってこんな感じだったのかもしれませんね。

☆☆1/2