メリンダとメリンダ(ウディ・アレン)

 ラダ・ミッチェルのファンとして迂闊にも見落していたので。と思ったら最近いいなと注目しているキウェテル・イジョフォーも出演してた。相変わらず「余裕のある大人な男」ぶりが素敵すぎる。さて内容ですが・・・

 とあるレストラン、劇作家仲間が談笑している。そのひとりが「ある夫婦主催のパーティに奇矯な女性が飛び込んできた。彼女の起こした波紋が、彼らの微妙な関係に変化をもたらして・・・」この実話を喜劇とするか、悲劇とするか?と問題提起。同じ要素を振り出しに、二つの物語が語られる・・・

 もともと登場人物を「キャラクター」としてどこか突き放した印象を受ける作劇術の監督であることもあって、それぞれの物語が腹に響いてこない。あくまで劇作家たちの「俺ならこう書くね」トークみたいな印象である。僕が趣旨を取り違えていて、そこは突っ込むだけ野暮なのかもしれないけれど・・・それをさて置いても、「オチを決める」のを逃げた感じが否めない。

 全体としての感想はそんな感じですが、悲劇パートのラダ・ミッチェルの情緒不安定演技はほとんどコメディで針の振り切れ加減にグッときたし、喜劇パートのウィル・フェレルウディ・アレンの代理として期待以上の活躍をしてくれたりと役者陣の見所は多いです。ところでイジョフォー演じる魅力的な作曲家は、実は人間的にかなりズルイ人という造形なんだけど、その女性に対するだらしなさがやけにリアルだった。
☆☆☆