2012-01-01から1年間の記事一覧

インコテックスレッド:チノ

今年はクールビズがさらに前倒しで実施され、こりゃスーツ買うよりパンツとシャツを買った方が安く済むし無駄にならないな、と色々物色しておりました。せっかくの職場用なのでパンツは(バーゲンで買うお買い得アイテム以外は)インコテックスやPT01な…

トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン(ウィリアム・ピーター・ブラッティ)

なるほどこれは怪作。全く事前情報なしにどこに連れて行かれるか分からないままに見るのが正解の映画だと思います。しかし、テーマに対して真摯過ぎる余りこういう表現にならざるを得なかった、という作り手の切実さをひしひしと感じました。それで監督は誰…

ももへの手紙(沖浦啓之)

端的にいうと「つり橋わたれ」映画版、みたいな話でしたね。以下、感想メモです。 ・開巻当初からディテールに目を奪われる。海面の映り込みの波によるゆがみのナチュラルさや、フェリーのデッキの錆具合。これは最後まで一貫していて、雨の降り始めの雨粒に…

スマグラー/おまえの未来を運べ(石井克人)

今回の映画にはしゃいだ「おもしろ」要素はいらなかったんじゃないかと言わざるを得ない。「そちらの世界でしか生きていけない人間たち」の生態を描くシーンはなかなか好調だっただけに、じっくり裏稼業のリアリティを積み重ねていくだけでも面白かったのに…

ドライヴ(ニコラス・ウィンディング・レフン)

いってみれば70年代犯罪サスペンスの作法で撮られた『シェーン』ですよね※1。毀誉褒貶ある作品ですが、僕の大好きな要素で構成されていたのでお気に入りの映画になりました。 ・大胆なジャンプカットを多用して細部を想像に委ねたり、逆に隣人の人妻とそ…

レイン・オブ・アサシン(スー・チャオピン、ジョン・ウー)

いやー、とても面白かった。武侠映画のお約束などをよく踏まえて作られた作品でした。物語:手に入れた者は武術の奥義を極めることができるといわれる「達磨大師のミイラ」が暗殺団「黒石」に奪われる。だがその仕事の誤算は組織の一番の使い手、「細雨」の…

マネーボール(ベネット・ミラー)

結論から言うと期待通りであったし、また弱点も想像通りだったという印象。 ・監督は『カポーティ』の人であるわけですが、あの作品での難点が今回もやや散見されました。端的にいって盛り込む要素を欲張り過ぎのきらいがあって、剪定すべき枝葉を見極めきれ…

スーパー!(ジェームズ・ガン)

『キック・アス』、『ディフェンドー』とヴィジランテ競作で話題になっていた訳ですが、ようやく3本とも観終わったので感想を。最初に結論を書いてしまうと、結局は青年の成長を描いたストレートな娯楽作だった『キック・アス』、変則人情長屋ものだった『…

シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム(ガイ・リッチー)

相変わらずガイ・リッチーは快調。以下メモです。 ・洞察力で格闘すら先読み、というのは前作でも書いたけどジョジョっぽい。 ・「ワトソンはアフガン帰りの名スナイパー」という前作の設定をちゃんと今回も怠らないのが、サービス精神において信頼できます…

ネザーランド(ジョセフ・オニール)

9.11というのは、途轍もなく大きなインパクトを持った事件だったので、これまで小説や映画の題材として好んで取り上げられてきたわけですが、その余りの大きさ故かむしろ観念的な「何か」となってしまっていて、読んだり観たりする際には、頭では理解で…

ドラゴン・タトゥーの女(デヴィッド・フィンチャー)

なめらかな語り口で紡がれる娯楽作。有体にいって話の骨格はどうということはない(エピソードを拾ってみれば些か過剰にセンセーショナルな線を狙いすぎているきらいもある)のだけれど、洗練を極めた演出で2時間38分たっぷりフィンチャーにもてなされた…

ギ・ローバー:ウエスタンシャツ

シャツは基本的に消耗品だと思うのであまり高価なものには手を出さずにいたのですが、誕生日にちなんでだったらバチも当たるまいとあこがれのイタリア製シャツにチャレンジすることに。大柄チェックの麻生地。 ギ・ローバーはマシンメイドのシャツでどこまで…

ゴーストライター(ロマン・ポランスキー)

正直、登場人物が全員出揃ったところでネタは割れているようなものなんだけど、それは欠点では全くなくて、クリシェの枠組みだけでどこまで魅せきるかという一流シェフの試み※1を味わうような作品でした。そういう意味では世評芳しからぬ『ナインスゲート』…

ラスト・ターゲット(アントン・コービン)

映画の印象というものは観たときのコンディションに大きく左右される、ということはよく言われるところですが、今回はそれが身に染みたというか。あまり主人公に感情移入できなければ、「70年代クライムサスペンス風の小品」※1にすぎない映画だと思われま…

英国王のスピーチ(トム・フーパー)

ごく大雑把にいって、およそ娯楽作というものは「(物理的・精神的な)障害の設定→主人公の成長→打破」という形式を取るものだと思うのですが、それは青春もの、恋愛もの、もちろんアクションものも、というようにジャンルを問いません。この物語もその例に…

イリュージョニスト(シルヴァン・ショメ)

去りゆく時代への惜別の思い。ちょっと感傷的にすぎるのかもしれないけれど、こういう話が好きだから仕方がない。去年観てたらベスト3に入れていたと思います。 ・手書きの味をわざと残したような作画の中で、3DCGのオブジェクトを馴染ませているのが凄…

復讐捜査線(マーティン・キャンベル)

メル・ギブソンを久しく見かけなかったけれども、この映画ではいい枯れ具合。と、それはさておき、ほとんど今の日本が置かれている状況のメタファーみたいな話で、その骨太なテーマにしばし呆然の体でした。タイトルやメル・ギブソンのフィルモグラフィから…

プランク・ダイヴ(グレッグ・イーガン)

結論を先に書いてしまうと、苦手な方のイーガンであった、ということです。所謂(ガチガチの)ハードSFですよね。高等数学の本でご飯三杯いけるような人向けというか・・・個人的にイーガン作品のどこにグッときていたかというと、我知らずあまりにも自明…

フライトナイト:恐怖の夜(クレイグ・ギレスピー)

いやー快調快調!予想外の佳作でした。オリジナルの方は、80年代に映画を自分で選んで見始めた頃の幸せな記憶と渾然一体になっていて(『ロストボーイ』なんかも同じフォルダ)、その懐かしさだけで足を運んだのだけど。大傑作という訳ではないけど、これ…

ピラニア3D(アレクサンドル・アジャ)

私としても映画初めがこの作品というのは内心忸怩たる思いがあるのですが、ディスカスさんの計らいなればやむを得ず。おっぱいと悪趣味なショックシーンがどちらも過剰に盛り込まれているのが売り、だけど演出は手堅いというのがもっぱらの評判でしたが、ま…

ハンナ(ジョー・ライト)

てっきり戦闘美少女ものだと思って観たら、不思議少女地獄めぐりものだったんですね。最初にいってよー。一種異様な世界観を楽しむべきものであって、エンターテインメントとしてのエスピオナージュやそれを成立させる脈絡の部分にこだわると肩すかしかもし…