今回の映画にはしゃいだ「おもしろ」要素はいらなかったんじゃないかと言わざるを得ない。「そちらの世界でしか生きていけない人間たち」の生態を描くシーンはなかなか好調だっただけに、じっくり裏稼業のリアリティを積み重ねていくだけでも面白かったのにと残念。主人公のエピソードを盛り上げようとしているにもかかわらず後半失速していくのは、やはり構成について練りが不足していたせいだと思う。派手な演出はもっと我慢して地味なくらいがちょうどいい作品ではなかったかな。
というか、やっぱり伝説的なアサシン(安藤政信演じる)「背骨」のロイ・バッティぶりを見ていると、監督はブレードランナーがやりたかったんだな、と思いました。抜け殻みたいな人生を送っていた主人公が、怪物と対峙して劇的な体験をすることで自らの生きる意味を問い直す、という点において。
☆☆☆