2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

アパートメント(ジル・シモーニ)

携帯電話が普及したことによって失われたサスペンスは大きいなと。 これは95年の作品ですが、固定電話の最後の時期という感じでしょうか。ハリウッドでリメイクされた『ホワイト・ライズ』ではその点がどのように処理されていたかちょっと気になります。随…

ムッシュ・マロセーヌ(ダニエル・ペナック)

ベルヴィル4部作完結編。つい昨年ようやく出版されていたことに気付いて。どこまでもとっ散らかって拡散していくエピソードを回収していく手つきの鮮やかさは相変わらず素晴らしいのだけど、今回は犯人の設定にいささか無理があったような、というか、ミス…

欲望(ミケランジェロ・アントニオーニ)

「ある日突然、世界への違和感に苛まれる主人公。会話をする相手は同じくらいの年頃ばかりだし、極端に自然音が少ないし・・・そうか、俺は自主映画の世界にいるんだ!」という(いかにも大学生が作りそうな)自主映画を映研の先輩が作っていたのを思い出し…

ドクター・アダー(K.W.ジーター)

内容についてはid:Dirk_Digglerさんのこちらを参照いただくのがよろしいかと。いつもながらネタバレなしなのに的を射た熱い感想です。 それ以外の個人的メモ。翻訳はサイバーパンクの伝道師、故、黒丸尚だったんですね。実際の事情は知らないけれど、ギブス…

アフター・スクール(内田けんじ)

十分以上に面白くて話もよく練られてるとは感じつつ、ないものねだりと承知で、しかし『運命じゃない人』のインパクトは超えられなかった。一つには監督の方法論に慣れた目で観ていて、やっぱりどういうトリックが仕込まれているのか警戒しながらという偏っ…

眠れぬ夜のために(ジョン・ランディス)

ジョン・ランディスの映画は、コメディであっても、いつもなんだかそこはかとなく寂しい。実はそこが好きなんですが。 物語は、妻の浮気や繰り返される日常にすり減らされて不眠に悩む男が、謎の女に助けを請われるままに大事件に巻き込まれて・・・というコ…

TAP(グレッグ・イーガン)

時はまさにセンター試験の真っ最中、僕の頭の中には「パーマン、パーマン、パーマーン、遠くで呼んでる声がする〜♪」が激しくリフレインしていた。何故こんな時に限って・・・「いやあ、あの時は本当に発狂寸前だったよ」と、大学の新歓コンパで知り合った友…

007 慰めの報酬(マーク・フォースター)

前作より好きだった。 ・格闘やカーチェイスは露骨にボーン・シリーズの影響下にありましたね(最近みんなその傾向だけど、というか、アクション監督共通してるのか・・・)。それはさておき、せっかくきれいに完結したのにボーンの4作目はやめたほうが・・…

現代ポルノ伝 先天性淫婦(鈴木則文)

「県警対組織暴力のお色気担当」とか「Vシネアクション女優の源流」みたいな括弧つきのやつじゃなくて直球の池玲子が観たくなって。そもそも「ポルノ映画」という言葉は、ピンク映画と差別化するため、かつ池玲子を売り出すための東映によるキャッチだった…

フルタイムライフ(柴崎友香)

長嶋有の小説を指して、「柴崎友香の書く小説に似たトーンだ」と書いている感想があったので、気になって読んでみました。これといって大きな出来事が起こるわけでもなく、リアルな日常描写を重ねていくというスタイルは確かに似ています。 この作品に関して…

影響力の武器(ロバート・B・チャルディーニ)

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックやローボール・テクニックといった言葉をご覧になったことはないでしょうか?これらは承諾誘導に関する用語なのですが、男性誌(SPAとかファッション雑誌)で定期的に取り上げられるコミュニケーション関係(対営業…

クロケット&ジョーンズ:pembroke

5年履いていた仕事用のサイドゴアブーツが限界になったので、次の靴を探してました。生まれ付いての無精者(NBB)なので今度もサイドゴアみたいな奴で行きたい。それで前回買ったヤンコはラスト(靴の木型)が自分にぴったりだったこともあり、何より価…

エンパイア・オブ・ザ・ウルフ(クリス・ナオン)

近年、ハリウッド映画(ブロック・バスター的なやつ)の影響を良くも悪くも大きく受けたフランスのミステリ(エンターテインメント系)作家が増えている印象があって、例えばブリジット・オベールは『マーチ博士の四人の息子』こそ緻密な推理小説のテイスト…

あけましておめでとうございます!