2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ユメ十夜(V.D)

競作形式のオムニバスは、監督が独自性を発揮したくなって原作とはかけ離れたものになってしまい、かといって潤沢な予算が割かれる訳でもないので「新しい解釈」も完成品を観たらグダグダみたいな結果になることが多い。江戸川乱歩の同様の企画などそれが顕…

エディターズバッグ:ジャスミン(ダニエル&ボブ)

オロビアンコのナイロンショルダーを買おうかとも思ったのだけど、流行に乗っかってダニエル&ボブのジャスミン、エルバメントのブラックを購入。ネットの感想を見ると、満足したとか良かった点しか書いてないことが多い。ので、客観的に感想を書いてみると…

サクマ式

最近、『火垂るの墓』オープニングから涙するまでの間がどんどん短くなってる。今日は電車のとこでもう泣いた。いまに「ほたるのはか」というタイトルを聞いただけで泣ける日が来ると思う。「ほたるいか」って肴を注文するだけで泣ける日も来るかもしれない…

パラレル(長嶋有)

登場人物に共感できるか否かで小説の評価を決めるのは狭量だと思う。けれど、主人公たちの中途半端な鬼畜ぶりがリアルで(身の回りにもまあ・・・いるよなあ、こういう人種)不快だった。離婚の端境期にズルズルと甘えてみせる主人公の元妻もやけに生々しく…

サイダーハウス・ルール(ラッセ・ハルストレム)

原作の猥雑なパワフルさみたいなものが、オスカーサイズに剪定されてた感じ。映画単体としてはよい作品だと思うけれど、『ガープの世界』『ホテル・ニューハンプシャー』はまだそこら辺のニュアンスが生きてた印象があるので。まあ作者自身の脚色だからこれ…

マジック・フォー・ビギナーズ(ケリー・リンク)

短編集をCDアルバムとのアナロジーで語るのはそれほど的外れではないと思うんだけど、先行シングルが良くて手に取ったら、結局その3曲だけがよかった、みたいな印象。 『スペシャリストの帽子』はスリップストリーム的な立ち位置の現代小説の中では、エン…

東京奇譚集(村上春樹)

最近の村上作品は「手癖だけで書いてる」感があって今ひとつピンとこないのだけど、残念ながら今回もそれは払拭されなかった。トレードマークの気が利いた比喩も、もはや自己模倣的(というか村上フォロワーの作家作品みたい)。 ただ書き下ろしの『品川猿』…

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(庵野秀明)

大人になってから中学・高校の世界に触れたとき、当事者として居た時には気付かなかったいびつさに気付いてギョッとすることがあるけれど、そんな感じでした。 というのも、何も分かってない14歳の少年を連れてきて、いきなりあんな大きな仕事を担わせると…

Instant Light: Tarkovsky Polaroids

ポラロイド写真なのに、タルコフスキーの映画そのままの世界観なのがすごい。やっぱり写真は腕なんですね・・・という当たり前のことを再認識させられる。ただ、完成かつ完結した世界なので、妄想の入り込む余地も少ないというか、「余白に遊ぶ」といった見…