ブックスマート(オリヴィア・ワイルド)

 最高にチャーミングな映画でした。

 嫌われることを恐れるあまり、先に距離を置いてしまえば傷つかなくて済む、と思いなして卒業前日まできちゃったけど、思い切って「飛んで」みたら実はみんないい奴らだった、という優しいお話。悪人が一人もいない※1という物語のつくりが新鮮だったし、「ギャフンと言わせてすっきりするという安易なカタルシスを求めない」という明確な意思をもって作り上げた監督が素晴らしいと思いました。

ウィル・フェレルがプロデューサーっていうあたりが分かってるな、と思う。

・ニックは誰に対しても「もてなし上手」でそれ故誰からも好かれていたのだ、とわかるのが、苦くも大人になる瞬間なのでしょう。

・僕が一番好きだったのはジャレッドで、とんでもないお金持ちの家庭なんだけど、どこか振る舞いが奇矯で、ちょっと距離を置こうかな…ってなってしまう感じ。しかし本当は誰より純真で真っすぐな青年なんですよね。頬っぺたが赤いのも相まって、セリフのいちいちに泣きそうになりました。

・作品の核になる部分が、なんだかイーサン・ケイニンの小説みたいだなと感じて。

・そして「また会おうな!」と交わした言葉は本気だったのに、そういう仲間とも2度と会わないこともあるのだろうと考えると切なくなりますね。

☆☆☆☆1/2

※ 初めて見る人ばかりなのに、どの役者さんも一流感があるのがすごかった。撮り方もあると思うけれど、キャスティングの勝利かな。

※1 だから「殺人犯」という落とし方が唯一残念だったんですよね。