アヒルと鴨のコインロッカー(伊坂 幸太郎)

 大ネタ使いには感心。でも率直にいうと最後までノれなかった。ネタ以外のネタバレありです。
 ノれなかった理由は、なんというか漫画のラブコメ的な配置と造型の登場人物。逆にそういう感じが好きな人には堪えられないかもしれない。その一方で、問題になる事件は猫の手足を切断するような「ペット殺し」からやがてエスカレートしてマンハントに至るという生々しく残酷なもの。そのマンガ的キャラと事件とのギャップを最後まで飲み下せなかった。
 それともうひとつは、−−<ここがネタバレ注意>−−復讐が鳥葬を模した緩慢な処刑というのも、(敵役のグループに受けた仕打ちを考えれば怒りはわかるけれど)主人公がそれをやっては・・・というところに割り切れないものを感じた次第。
 例によってネットで感想散策すると、全体としては結構陰惨な話なのにその点に言及した感想があまりなくて、出版社の「清冽な青春ミステリ」という惹句をそのまま引いているのが、みんな気にならないのかなぁと思ったことだった。
 「キャラ」が自分にとってひっかかる部分だったから、かえって映画のほうはすんなり入り込めるかもという期待が。瑛太は確かに全方位的に完璧なキャスティングだと思う。
☆☆☆