この映画での「童貞」というのはピュアさやイノセンスの象徴で、予想していたより「童貞であること」の痛々しさそのものの描写は割りと軽めだった。考えてみると「最初は<大人の常識>を振り回してバカにしていた周囲の人々が、純粋な主人公と触れ合ううちに誠実に生きることの大切さを取り戻す」というコメディの系譜で、日本なら草なぎ君がキャスティングされるような話。
だから表層的には『電車男』と(オタクの話であることもあって)似てる感じだけど、実際はトム・ハンクスの出世作『ビッグ』と同じジャンルでしょうか。ただハリウッド的なウェルメイドに徹しているかというとそうでもなくて、コメディのテイストでいうとケヴィン・スミス風にリアルでゆるい。特にDVDで見た今回のバージョンが17分長いエクステンデッド版だったこともあり、個人的にはそこら辺が中途半端に感じられた。こういう話だったら1時間40分くらいでスパッと見せたほうがいいと思うんだけど。
☆☆☆