「奇想コレクション」のなかの一冊。作者の作品は『なんでも箱』を読んだことがあっただけだったので、勝手にジュブナイル的な感触の作品を書く人だという思い込みがありました。もちろんそういうテイストの作品もたくさん書いている作家ではあるのですが、そういった「思い込み」との落差で唖然とさせられる結末を持った短編もあったりして。なかなか侮れないです。
通してみると、教師という立場の限界を「ありえない事件」という切り口で淡々と語るというスタイルが多い。ジュブナイルという形式がノスタルジーとセットでないと成立しにくい今日、「少なくとも生徒との信頼関係だけは前提にできる」ということに時代を感じさせられました。
☆☆☆1/2