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皇帝のいない八月(山本薩夫)

 パトレイバーの元ネタとしてよく知られた作品、ということで見てみましたが・・・まあ、安かったですね。血のりも安けりゃ、ヘリのミニチュアも安い。 ついでに三國連太郎のドーランも安かった・・・
 こういうポリティカル・サスペンスだと敵役が魅力的じゃないと話が盛り上がらない訳ですが、クーデターを目論む元自衛官の藤崎(渡瀬恒彦)の言う大義が全く共感できない。そこにもってきて、人民を動かすことが目的と語りながら、追い詰められたら一般人の人質に手をかけるなんて、完全に逆効果でしょう。日本に失望したというなら勝手に自分たちで死んでくれないかなー、とそのマスタベーションにシラけるばかり(俺は死を覚悟している、みたいなセリフに自分でウットリしたりして。本当に世の中を変えたいなら安易に死ぬなよ、と思う)。福井晴敏の『亡国のイージス』に代表される「自衛隊謀略もの」はこの作品の系譜に連なる訳だな、と思ったけれど、せめて『ザ・ロック』のエド・ハリスぐらい格好よくて説得力のある敵役じゃないとストーリーがもたない気がしました。(と思ってシネスケの感想なんか読むと、藤崎が魅力的と書かれている方もいて、皆同じように観てる訳ではないのだという、まあ当たり前のことに改めて気付かされて、愕然としております・・・)
 えー今回文句しか書きませんけれども、2時間20分の尺がありながら、(例えば新聞記者のエピソードとか)振っただけで回収しない枝葉が多すぎる。曲がりなりにもサスペンスを志向するならもっとタイトに描くべきでしょう。あと時代なのかもしれませんが、幕僚である上司の娘を篭絡するのにレイプ同然の手段を使い、結果、婚約者がある身のヒロイン(吉永小百合)を裏切らせるという描写も如何なものか?好意的に解釈すればストックホルム症候群的なことなのかもしれませんが、フラフラしていて何を考えているのかよく分からない彼女にもイライラさせられました。ボウズ憎けりゃで最後に。高橋悦史が政府側の状況の収拾にあたる主人公なんだけど、体制サイドも大概酷いということを描きたいなら、もっと酷薄かつクールなイメージのキャスティングであるべきだと思いました。双方に魅力がないならどこを観たらいいんですか、という話。

マックレーンかライバックに登場してもらいたかった。マジで。