ジョジョ・ラビット(タイカ・ワイティティ)

 監督の監督としての映画を見るのは初めてだったけど上手でしたね。母親が子ども(と自身)の心を癒すために演技をしてみせるところは『ライフ・イズ・ビューティフル』的だったり、「家族だけの聖域」を強調するかのような可愛らしい美術※についてはウェス・アンダーソンっぽかったりと、過去の作品をよく参考にしている印象でした。

 こういう作品はどうしても悲惨な場面を避けて通れないけど、いつも「ふらふらしているけど結構悪党なやつ」か「ふらふらしているけど実はいい人」な役を演じている印象があるサム・ロックウェルが、今回は後者を実に好演していて、映画を見ている間の心の救いでした。現実にはこんないい人なかなかいないと思うけれど、せめてフィクションの世界ぐらい希望を見せてほしいですよね。

☆☆☆1/2

※最初の青少年キャンプなんかは『ムーンライズ・キングダム』風だなと思いました。

※ところでスカーレット・ヨハンソンはもともと上手だとは思っていましたが、こういう役のこんな感じもできるんだと改めて感心しました。