三の隣は五号室(長嶋有)

 作者の近作では毎回同じ感想を書いている気がするけど、今回も手癖で書いている印象が残った。というか、作品を立ち上げる拠り所(これまでだとSNSだったり運転することだったり)として、今回は「アパートの住人の変遷とその時代背景」という枠組みを選択したということなんだろう。最近はむしろエッセイやコラム寄りの手法というか、世界の切り取り方というか着眼点の工夫にだけ腐心しているように思える。(近い例でいうと、「伝染るんです」の頃の吉田戦車のような。実際、作者の資質のある部分は非常に近接してると思う。)

 いずれにせよ、僕が小説という形式に求める面白さからは遠い。

☆☆1/2