「奇想コレクション」はあくまでエンターテインメント小説ということに軸足を置いている選集だと思っていたので、この飲み下しにくさはちょっと意外だった。(とはいえ、娯楽作品から超シュールなものまで振幅の大きい短篇群なので全部がそうとは言い切れないのだけど。シュールな方の作品は盟友であったというディッシュの作風に似てる。)大雑把な印象ではむしろ「未来の文学」に入っていた方が個人的にはシックリくる感じ。まあ奇想コレクションにもウィル・セルフとか、アヴラム・デイヴィッドスンなんかも入ってますが。
「ピストン式」:交通渋滞を解消するためにマッドサイエンティストが開発したのは、車をレイプする怪獣的ロボットだった!その対策は・・・というイメージはかなりデジャヴだったんだけど、思い出したら吉田戦車の「戦え!軍人くん」でした。
テンションの高い狂騒的な作品が多いなかで、「高速道路」の諦念あふれる余韻、「教育用書籍の渡りに関する報告書」のイメージの美しさが印象に残ります。
☆☆1/2