『ユナイテッド93』や『ワールド・トレード・センター』といった映画がそろそろ公開される。プロモも活発になってきた。亡くなった方やご遺族には同情の念を禁じえないけれど、それでも映画化されることのスタジオ側の判断は、「そろそろ作ってもいい頃合だよなあ」という喪中の期間の見切りと「事件の渦中ではどんなだったのか見てみたい、疑似体験したい」という野次馬根性を当てにした商魂にあるのは間違いないだろう。いくらしかつめらしい体裁をとっていたとしても。
映画とは本質的にそもそもそうしたものなので、それはしょうがないというか構わないのだけど、気になったのが『WTC』の日本版予告編の「あの日、世界は恐ろしい悪を目撃した」というキャッチ。そんなにシンプルに言い切ってしまっていいのだろうか、ちょっと無邪気すぎないか、という違和感を感じた。もちろんテロは許されざる行為だけど、「悪」を「悲劇」に置き換えただけで随分印象が違ったのではないかと思う。