(若干ネタバレです)よりによって柴崎作品の中でもこれなのか…というのはあったけどすごく面白かった。何でもないシーンにもずっと不穏な緊張感※があってよかったですね。
物語の枠組みが先にあって、物語の必然に沿って人物が動いているというのじゃなく、個人が確かにそこに存在して、その相互関係によって物語が紡がれるという感じがして「今、映画見てる」という面白さにわくわくさせられました。
小説は、朝子の一人称が「語り」の仕掛けになっていて、それ故サイコホラー的なサプライズと後味の悪さになっているのだけど、亮平がちゃんと怒りをあらわにして『頭おかしいんとちゃうか!』と言ってくれる分、映画の方が救われた感じ。
☆☆☆☆
※ tofubeatsの80年代風の音楽が、当時多かったトラウマ邦画(『ときめきに死す』とか)のそれを想起させて、はまってました。