ウは宇宙船のウ(レイ・ブラッドベリ)

 収録作品の「サウンド・オブ・サンダー」(邦題「雷のとどろくような声」)が映画化されるということで読んでみました。正直その短編自体は、こんなの映画にするの?という感じ。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいな「歴史改変タイムトラベル」もの。そして案の条、映画のトレーラーを観てみると原型を留めていないほどの脚色ぶりなのであった。

 他の収録作品には有名な「霧笛」も。自選短編集だけあってカラフルな内容。ブラッドベリ入門としては最適かもしれません。こういうのも書くんだな、というところでは「霜と炎」。ジャンルとしては「特殊なルールに律される箱庭的世界シミュレーション」もので、オールディスの「地球の長い午後」を思わせるような内容。ちょっと意外でした。
 でも構成のカッチリした「理に落ちる」タイプの作品よりも、やっぱり「竜」みたいに独特のトーンだけで読ませてしまう小説が一番好きだなあ。

☆☆☆1/2