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平ら山を越えて(テリー・ビッスン)

 結構既読作品が多かったのがちょっと残念でした。ビッスンに関しては2冊目なので(それをいったらスタージョンは3冊だけど)、ウィル・セルフとかマーゴ・ラナガンみたいな知らない作家を紹介してほしかった。
 それと奇想に仮託した現実社会への異議申し立てというのは、昔からあるSFのひとつの側面ですが、(「謹啓」が結末に置かれている印象が強いからと思うけれど)『ふたりジャネット』に比べると息苦しい感は否めない。もっとおおらかなホラ話が読みたかったんだけどなあ。
 一番好きだったのは「ちょっとだけ違う故郷」。時期でいえば小学生低学年頃の、世界と自分の境界が意識された後にも少しだけ残っている、空想と現実の狭間にあるグレーゾーンを見事に描写していて素晴らしかった。それだけに結末の哀切さもひときわでした。
☆☆☆1/2