悪女(チョン・ビョンギル)

 むちゃなアクションを画にしてやるんだ!(ニキータが好きなんだ!)という心意気は凄かった(窓を突き抜けたりバイクを回り込んだりという追従するカメラはどうなってるのか本当にわからなかった)。ただ敵も味方も作戦がずさんすぎるし、娘が不憫すぎる。まあ話そのものはアクションの入れ物であってそれ以上ではない、ということなのかもしれないけど、そこを突き抜けてくるエモーションを感じさせる熱演だったから…

 ところで後から知ったのだけど、主人公は『渇き』のコンビだったんですね(見ている間気づかなかった)。上手さがもったいない感じは否めない…

☆☆☆1/2

数学的にありえない(アダム・ファウアー)

 イーガンとまでいかなくとも、もうちょっとSFなのかと思ったらノンストップアクション「SF風味」程度だった。でもアクション作品としてはかなり面白かったです。(途中のとあるツイストは、そういう方面を予想してなかったからお!っとなりました。)

 結末はまどマギを思い出したりしてむやみと泣けた。なんか全宇宙に遍在する存在になる、みたいなのに弱いのかもしれないな。

☆☆☆1/2

時をかける少女(大林宣彦)

 小学生のころ見たきりだったのですが、改めて見てみたらストーリーラインは結構無茶だなと思いました。原作だと何度かタイムリープがあるのでこのままじゃいけないという切実さがあるけれど、この物語だと事実上1回だけだもんなあ…まあこの映画ではその点はそれほど重要ではなくて、雰囲気づくりにすべての要素が奉仕するということになっているからね。それくらいここでの原田知世は特別だったと思います。

 ところで、結末が悲恋であるという解釈も多いようだけど、個人的な印象では「記憶こそ失っているけれど、もっと運命的な部分で引かれあい、また巡り合った」という解釈だったので、含みを持たせたハッピーエンドではないかな、と思いました。

☆☆☆1/2

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(ジョン・ワッツ)

(ネタバレ)すごく丁寧に考え抜かれた脚本だなと唸らされました。ところで、これまでのヒーローのエフェクトをどうも流用している感じが、MCUらしからぬ安っぽさを醸し出しているのだけど、それがミステリオのうさん臭さに通じているところが上手いなと思いました。※

 それとMJ役のゼンデイヤがすばらしかった。彼女のキャリアからいえば初々しさなんて一番かけ離れているはずなんだけど、恋のためらい恥じらいのニュアンスが何というかグッとくる感じでね…役者さんって本当にすごいですね。

☆☆☆☆

※実利的には予算削減に貢献するわけだし。

クリード 炎の宿敵(スティーヴン・ケイプル・Jr)

 (ネタバレ)前作より好きでした。正直ドニーについては1作目で語るべきことは語りきってしまっていたので「主人公は地獄の特訓をくぐり抜けてなお敗北して、それでも得るものがあった」という結末でもよかったと思うのだけど、そうなると裏テーマ(かつ真の主人公?である)の「ヴィクターとイワンの敗北を経ての和解」が描けなくなるから、やっぱりこれで正解なんでしょうね。ドルフ・ラングレンの意外な巧さに驚きました。

☆☆☆1/2

パターソン(ジム・ジャームッシュ)

 一筆書きみたいな、スケッチみたいなスタイルで書かれる映画だけど、しみじみ味わい深い作品でした。登場人物の背景すら説明しないのが、匂わせることすらしないのが、潔い。※

 詩(だけに限らず何かを創作すること)のすばらしさとか、ちょっと大げさに言うと人を愛することの尊さとか、人生にかかる諸々を思わず考えずにはいられませんでした。

☆☆☆☆

※パターソンは海兵隊に所属していたらしいとか、中東にルーツがある奥さんとどうやって知り合ったのかとか…

ザ・アウトロー(クリスチャン・グーデカスト)

 ジ・アウトローじゃないの?ということはさておき、終盤の銃撃戦で強盗団のボスのメリーメンがアサルトライフル(バトルライフル?)を固定使用する際、右肩を押さえながら撃つスタイルが今まで見たことなかったので「本当っぽい!(実際の運用は知らんけど)」と興奮しました。

 誰もが思うように『ヒート』が好きなんだな、とよくわかる。その上でのツイストがあったり、渋滞の中での銃撃戦の見せ方が香港映画っぽい、とか工夫があってよかったですね。

☆☆☆1/2