ザ・プレデター(シェーン・ブラック)

 公開時に話題になってたけど見逃してしまっていて、今回ようやく見たのですが、控えめに言っても最高でした。

 有名な話ですが監督は1作目に端役として出演していて、今回は監督として登板したということで「思えば遠くへ来たもんだ」という感慨もひとしおだったのではないかと独りよがりで思わずこみ上げるものがあったのだけど、実は1作目の時点でも『リーサル・ウェポン』の脚本でブレイクした後だったということで、想像していたような「役者として芽が出なかった人が脚本家・監督として名を成した」という訳じゃなかったようですね。その辺りの事はブルーレイの特典で要領を得た解説があったので、興味がある方はぜひご覧ください。

 ところで、監督は乱暴な展開、笑ってしまうほどえげつない暴力・不謹慎ギャグがトレードマークですが、今回は特にのびのびしてていっそ清々しい程でした。また、少年・少女との交流を通して自らのあるべき姿を見つめ直す、という近作では特に顕著なテーマがこの映画でも一貫してて、マーベルのヒーローものであろうが、今作のようなフランチャイズタイトルであろうが、パッケージの部分は代替可能なんだなということがよく分かりました。

 監督のフィルモグラフィでは『キスキス,バンバン』が一番好きだったのだけど、それを超えるぐらい好きかもしれないな。

☆☆☆☆

ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ(マイケル・ドハティ)

 どうしても書かずにはいられないけど、SNSでネタバレはよくないなと思い、ブログで書きます。つまりネタバレ全開です。(否定的感想なので、楽しく観られた方は読まないでください。)

・お母さんはゴジラによって息子を失ったことがどうしても耐えられなくて、「そのことに何か意味があるはず」という合理的な理由を追及し、追求しすぎて気が狂いそうになって(実際には気が狂って)、その果てに「怪獣は地球のためにある」という(彼女にとっての)真理に到達した。

 そのはずなのに、いざ娘を失いそうになると「私は既に息子を失ったのよ。これ以上娘まで失えというの!」とかいうじゃないですか。ちょっとまてよと。あんたの身勝手な思いつきで目覚めた怪獣によって、何千何万の「息子」と同じ状況が生み出されているとは想像しなかったのか?逆に言えばその程度の覚悟だったのかと。「お母さんを許して…ポチッ」みたいな展開だったらむしろマッドサイエンティスト上等だったのだけど。そういうところの首尾一貫性のなさが受け入れ難かった。

・それと、アメリカは核を簡単に扱い過ぎという点ですね。前作が既にしてそうだったけど、今回はさらに便利アイテム的で。よりによって「ゴジラ」に対して、「芹沢博士」がカンフル剤的に使うというのはどうなのか。それにあの至近距離での爆発だったら潜水艦に乗っていた人もただでは済まないでしょう。

・超巨大な怪獣が世界を焼き尽くさんと大暴れしてるのに、それを受ける人間のリアクションがスッテン、ズサーみたいな感じだから、え?大きいの小さいの?となりました。なんというか距離感演出や大きさ描写が全体的に杜撰だったような。

ゴジラ、オキシジェン・デストロイヤーで死ぬ目にあわされてるのに、エネルギーを補充してくれたら許すって、どれだけ心が広いのか…(5年ぶり2度目)

・伊福部テーマに免じて、そこはひとつ飲み込んでくれよな!ってずっと言われてるような気がした。ただ、監督は怪獣映画をちゃんとリスペクトしているとは感じました。

 え、世間的には絶賛なの?まあ『パシフィック・リム』もピンとこなかった人間なので。

☆☆

アベンジャーズ/エンドゲーム(ルッソ兄弟)

 <ネタバレです>10年間ありがとう、そういう気持ちで胸がいっぱいになった。正直、ソーのくだりなどでは、まさかこの調子で全編やり抜くつもりなのか…それはそれでチャレンジだけど、と思いもしたのだけれど。

 すべての始まりだった『アイアンマン』の功労者であるトニーことロバート・ダウニー・Jr(ともちろんジョン・ファヴロー)への労いを感じる演出もよかったし、締めくくりがスティーブとペギーのダンスというのも素敵だった。実はキャップについては、個人的には「ペギーとは結ばれない、人生にはそういうこともある」という物語であるところにグッときていたこともあって複雑な気持ちもあったのだけど、監督によると別の時間、別の場所であるとのことなので、あり得たかもしれない未来をああいう形で示したんだなと思います。

 あまりにも完璧な結末だったから、もう自分の中でのMCUもこれにて完結ということでいいかな、という気持ちも…。ともあれお疲れ様でした。

☆☆☆☆☆

ザ・ゲスト(アダム・ウィンガード)

 製作者の「80年代映画が好きやねん」という熱い想いに打たれる。最後辺りは『ファンハウス』を思い出したり。丁寧なつくりもいいと思います。

 というか、『家族ゲーム』のハリウッドリメイクということでいいんじゃないかな。

☆☆☆1/2

アトミック・ブロンド(デヴィッド・リーチ)

 エスピオナージュというジャンルは、結局、ハードボイルドと同様に形式そのものに淫する在り様を指すのだなと納得しました。

 端的に言うと「なんかいろいろな思惑がある勢力が複数入り乱れて、主人公は自分自身もよくわからなくなりました」という枠組みなので(ただし本作はエンターテインメントらしいオチをわざわざ付けている)、観客(読者)は翻弄されることそのものを目的として観に行くわけですよね。だから物語の本筋は何かを追及してもそもそも得るところがない。

 この映画の発明は、そこにひたすら躍動する身体を加えたところ。置いてきぼりにされることが目的であるジャンルだから、本来は好事家向けの作品になりがちなところ、シャーリーズ・セロンという強力な主体を得て、ただ戦い続けるのを見続けるうちに、なんだか話が前進しているように錯覚する次第。素晴らしかったと思います。※

 ところで、『ジョン・ウィック』は1作目のすっとぼけた世界観が好みだったのに、2作目からはしかつめらしい真面目ぶった作風になったのがガッカリだったのですが、一方で『デッドプール2』は大人向け悪趣味コメディのバランスが絶妙だったんですよね。ということは、リーチ監督の作風が僕は好きなんだな。

☆☆☆1/2

※ボーンシリーズがあるじゃないか、という声もあろうかと思いますが、あれはちゃんと起承転結のある物語主体の作品(筋を追うことに意味がある)なので似て非なるものと考えます。『ジェイソン・ボーン』は蛇足だったけど。

スリー・ビルボード(マーティン・マクドナー)

 『ヒットマンズ・レクイエム』を観て、オフビートという言葉でも上手くいえない変な映画を撮る人だなと思ったのだけど。今作はむしろ舞台でも成立する話だな、というのが第一印象で、事後に実は劇作家として既に名を成した人だったのだと知って、さもありなんと思ったことでした。

 もちろんこの映画は、映画ならではの表現としか言いようがない巧みな演出と描写があって、だからこそアカデミー賞でも話題の中心になった訳ですが。舞台的であると感じた理由は、むしろ物語の構造というか人間関係の抜き差しならなさに眼目が置かれている点で、考え抜かれた人物配置と展開が、むしろその精緻さ故に作り手の存在が感じられるというか。役者陣の見事さもあって、ためにする机上の話だな、とまでは思わないのだけど、観客の気持ちに揺さぶりをかけることに注力されている感じが、演劇であれば気にならなかったのではないか、という気持ちになりました。

☆☆☆

パシフィック・リム: アップライジング(スティーヴン・S・デナイト)

 映画としての精度でいえば前作なんだろうけれど(そして実はあまりピンとこなかったのだけど)、子どもが独力でロボット作ってたり、その上いきなりスカウトされたり、ふらふらしてた主人公がいきなり教官になったり、という無茶にもほどがある物語が逆に「巨大ロボットもの」って本来こうだよね、だって子ども向けなんだもの、という潔さを感じさせて好きだった。

 そういえば、最近は娯楽超大作といえば中国資本が欠かせない訳ですが、序盤から中国をディスるような展開があって、人ごとながら大丈夫かしら…と心配しながら観ていたのだけど、最後はきっちり花を持たせる作りになっていて、そうだよねそりゃそうだよね、と思ったことでした。

☆☆☆