夜は短し歩けよ乙女(森見登美彦)

 『太陽の塔』の感想でも書いたけれど、夏目漱石的の偽(戯)古典口語体スタイル(低徊趣味?)というのは作者の基本文体になっているみたいですね。(『きつねのはなし』は違うのかな?)
 今回は学園祭が舞台のエピソードがあったり、ヒロインの所謂「萌えキャラ」としての設定が際立っていることもあり、勃興期のオタク文化、具体的なイメージとしては『究極超人あ〜る』のような世界観に近しいものを感じた。でも不思議とスタイルと内容の親和性は高い。
 考えてみると、そもそも「初期オタク文化」≒「同人誌文化」(⊇「SFファン」)というように、同人というメンタリティ自体は、乱暴に言い切ると、明治・大正の昔から※通底しているからではなかろうか。本当に乱暴やな。
☆☆☆1/2
 ※「木曜会」人脈→同人誌系小説家の仲間たち(芥川、久米、菊池寛)という連想(妄想)。