虎よ、虎よ! (アルフレッド・ベスター)

 ものすごく久しぶりに再読。
 「加速装置」が『サイボーグ009』に、「燃える男」「老人化した超能力少年」が『AKIRA』に登場というように、設定やガジェットが日本のマンガで何度も取り上げられるこのSF小説、初読の時はむちゃくちゃだなぁ・・・という印象が強くてあまり面白いと思わなかったけれど、いろいろ本を読んで「不要な過剰さ」を愛でる余裕ができたのか、今回は楽しめた。
 それでも「こういうの面白くない?」という思いつきのままに書かれたと思しき数々の要素(どれもすごくキャッチー。もったいないほど)が、伏線としての回収もないまま闇鍋のように叩き込まれるのがスゴイ。個人的には悪習だと思う、ここ最近のアニメ系創作物に多い「なんかわからんけど哲学的なオチ」(前は「AKIRA」、最近では「エヴァ」の影響ですよね)の源流がこの小説だと気づいたのが少し収穫だった。
 ☆☆☆1/2
※2008年に映画化されるのかな?考えてみたらビジュアル派のSFだし、今まで映画になってなかったのが不思議なくらいだ。楽しみです。