(ネタバレありです。)新潮の「海外名作発掘」シリーズの中でも最近の話題作だったと思いますが、なるほど傑作でした。「犯人を追うサスペンス」→「少女の投身自殺を食い止められるかスリラー」と、前半と後半でジャンルがスライドするところも面白かったです。
ヒロインを思いとどまらせるため、様々な登場人物が自らのすべてを賭して説得するのですが、思いもよらぬ真実が次々に披露されて、物語を加速していくのが圧巻でした。もちろんデウスエクスマキナ的ご都合主義的という批判もあり得るとは思うけれど、人物像が魅力的に描けているため、積極的に乗っていきたい気持ちになりました。
前半に散りばめられた伏線から一般的な水準のミステリとして辻褄が合う話の要素は揃うから(ここのミスリードも後から考えると上手い)、実は「ヒロインの自殺は狂言で、真犯人が逃げ延びるための時間稼ぎなのではないか?」と思いながら読んでいたのですが、それを軽々と超えてきましたよね。それでいて変に引っ張ることのない、娯楽作らしい潔い結末もよくて、読み終わった後はとても爽やかな印象でした。すごくお薦めです。
☆☆☆☆1/2
※1 ところで、ニューヨーカーの青年弁護士のお仕事ものとしての趣があって、文章も小粋なんですよね。そこもよかったです。
※2 タイトルは含みを持たせている部分もあるので、原題どおりの「デッド・エンディング」でよかったんじゃないかな、と思いました。