ハント(イ・ジョンジェ)

 初監督作かつ脚本も、ということで頑張っていたと思います。これだけできれば立派だなそつがないな、と思うものの、演出としてじっくり見せる感じは少し乏しくて、映画って難しいなと思いました。

 ツイストはなかなかよくできていて、実は『インファナル・アフェア』だったんですね。国家規模に大きな話にしているから気付かなくて、そこは素直に驚きました。結果的に押井守ケルベロスもの的な話になったかな(なんとなく参照しているような)。見る前は史実に材を採った痛快アクション作品なのかと予想していたのですが、意外や全体としてかなり陰惨な話ですよね。自分の信念と大義を胸に、その過程では犠牲もやむを得ないと汚れ仕事に目を閉じて生きてきたけれど、最後に因果が追い付いてくる。もうちょっと救いがあってもよかったんじゃないかという気がします。

 ところで、カメオ出演のみならずメインの出演陣が豪華すぎるのだけど、これだけ多いとノイズになるんだなと初めて思いました。なにごともメリハリが大事ですね。

☆☆☆1/2