前に読んだ時は人工知能対野蛮な人類というストレートな大冒険活劇で、ラファティの長編としては一番分かりやすいな、という印象だったのですが、今回改めて読んでみると、結末のジャンプでいきなりものすごく抽象的、観念的、神話的な世界に突入するから、あれこんな感じだったっけ?となりました。
だから『エヴァ』の元ネタ的雰囲気というか、ニューウェーブSFっぽいな、と思ったら、書かれたのは1968年だから正にニューウェーブの時代だったんですね。あまりそこと関連づけて考えたことがなかったなあ。
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※ところで、主人公のトマス・モアの仲間の一人に、人工知能と人類の両方の血を引く男がいて、それ故に仲間から粗雑に扱われたにも関わらず「俺は人類に味方する」という魂の叫び、訴えをする場面があるのだけど、そこでもなお主人公を含めた仲間たちは対応が冷淡なんですよね。普通の小説だったら「よくぞ言ってくれた!」となる場面だと思うんだけど。でもそういう、あれ?なんで?みたいな脱臼した寒々しいところにこそラファティっぽさというか、独特の味を感じるんですよね。