ウィキッド(ジョン・M・チュウ)

 高い評判を聞いて期待しすぎたのかな…正直、物語を通してエルファバを全面的に支えてくれる人が誰もいないのが辛過ぎた印象です。親も妹も自己憐憫に終始して、愛情が本当に必要な時に気づいてもいない(特にあれだけ(本人自身が過酷な境遇の)姉から愛情を注がれているのに、それが当たり前と思っている妹が腹立たしい)。理解者風に出てくる登場人物もツイストの効果を上げるための演出に過ぎないし。「善き魔女」グリンダは親友然として描かれているけれど、実際のところ状況に流される体制側の日和見主義者にすぎないし。微妙だなと感じたのは、お気楽な享楽主義者を自任しているフィエロこそが、それは社会への諦念のあまりのポーズであって本当は反骨精神がある人間だった、という展開ですが、その直前に反知性主義的な図書館のシークエンスがあるせいで飲み込みづらくなっているところ。あそこまでする必要はなかったのにな(面白おかしくする必要はなかったのにな)、という気がしました。

 2作目も見たいと思っているのですが、覚醒したエルファバが世界を滅ぼすという結末でも構わない、とすら思います。

☆☆☆1/2