系譜としては『リング』、『CURE』比較的最近なら『イット・フォローズ』みたいに、死にまつわる「何か」が伝播していくというタイプのホラーですね。伝播のルールは何なのか?「何か」とはどういう存在なのか?を主人公が追求していく過程を描くことで物語をドライブしていけるので物語としては手堅い枠組みだなと改めて思いました。
長編デビュー作というこの監督も上記の作品をよく研究※した上で取り組んでいる気配がありましたが、それに加えて上手かったのは、主人公の背景として『ヘレディタリー』のような家族関係、人間関係のままならなさで肉付けしていたこと。その抜き差しならない感じの方がむしろ見ていて辛かったですね。主人公の立場からなら「私は狂ってなどいないのに!」ということになるのだけど、恋人から「お母さんも…」とか実の姉から「関わらないで」と言われたり、でも現実に照らして考えたらセラピーを受けたら?ということになるよなあ…だから、ちょっと主人公に対して過酷すぎるタイプのホラーだったですね(だから『ヘレディタリー』なんだけど)。
役者さんは知らない人たちでしたが、いずれも好演。失礼ながらレイチェル・マクアダムスのパチもん感がある主人公だなと思いながら見ていたらケビン・ベーコンの娘さんだったんですね。もうこんなに大きいのか。でも憔悴していく感じが演技とは思えないほどで、とてもよかったです。あと落ち着いた紳士なんだけど、どこか底が浅くて信用できない感じの黒人の恋人は「この薄っぺらさ、確かに知っているはずなんだけど…」と思ったら『ザ・ボーイズ』のAトレインの人だったですね。それでか!
☆☆☆1/2
※気づいた点としては、明るい部屋がそのまま文字通り不穏な翳りを帯びていく照明は、特に黒沢清を参照しているのではないかと思いました。