日本人作家の旅行記の体裁で日本統治下の台湾の女性ふたりの「友情」を描く、という物語。日本の作家といわれても違和感がないくらいディテールが徹底していて、台湾の作家の手によるもの、ということが先ずはすごかったです。
台湾の比較的若い作家が今改めて自らのアイデンティティを再確認する、という今日的なテーマを設定することの意義や、当時の歴史・風俗について丁寧に取材するという熱意、またそれを日本語に翻訳するにあたっての正確で的確な訳文、という個々の要素には感心したものの、肝心な物語の骨格がライトノベルなので正直ちょっと肩透かし、腰砕けの感がありました。それなりに重くて苦い着地だけに残念。もともと作者の出発点がアニメ、マンガなどのサブカルチャー畑だったからというのもあるのでしょうが、逆に、ライトノベル的な話運びは読者を油断させる企み(結末でのギャップのための)もあったのでは?とも思われて、しかしそれならばしっかり正攻法の文学路線で描いてほしかった、と感じました。
ともあれ、食事や料理の描写はすごくおいしそうで良かったです。
☆☆☆